ハリモグラとハリネズミは、どちらも背中に針があって、ころんとした姿がよく似ています。
「名前も似ているし、親せきなのかな?」「どうやって見分ければいいの?」と気になる人もいるかもしれませんね。
実はこの2種類は、見た目は似ていても分類では別の仲間です。
鼻先や爪、体の大きさを見くらべると、それぞれらしい特徴が見えてきます。
さらに、ハリモグラは卵を産むことや、暮らす場所・食べ物にも違いがあります。
この記事では、ハリモグラとハリネズミの違いをやさしく比べながら、針を持つ動物たちの不思議を紹介します。
似ているのに別の道を進んできた理由を知ると、動物を見るのがもっと楽しくなりますよ。
この記事でわかること
- ハリモグラとハリネズミの分類と、近い仲間の違い
- 鼻先・爪・体の大きさから見分けるポイント
- 卵を産むハリモグラと、子どもを産むハリネズミの違い
- 暮らす地域や食べ物、針を使った身の守り方
ハリモグラとハリネズミは見た目が似ていても別の仲間

ハリモグラとハリネズミは、体の表面に針があるため似て見えますが、分類ではまったく別の仲間です。
どちらもほ乳類ではあるものの、ハリモグラはカモノハシに近く、ハリネズミはモグラやトガリネズミに近いグループに入ります。
動物の名前だけでなく、体のつくりや親せき関係に目を向けると、2種類の違いがもっとわかりやすくなります。
| 動物 | 大きな分類 | 近い仲間 |
|---|---|---|
| ハリモグラ | 単孔目 | カモノハシ |
| ハリネズミ | 真無盲腸目 | モグラ、トガリネズミ |
ハリモグラはカモノハシに近い単孔目
ハリモグラは、ほ乳類の中でも単孔目という特別なグループに分類されます。
今も生きている単孔目の仲間はとても少なく、代表的なのはハリモグラの仲間とカモノハシです。
カモノハシは水辺で暮らす動物として知られているため、地面の上を歩くハリモグラとはずいぶん違って見えるかもしれません。
それでも、体の基本的なつくりや長い時間をかけて受けついできた特徴を調べると、ハリモグラはカモノハシと近いグループだとわかります。
「針がある動物」という見た目だけでは、親せき関係は決められないのですね。
単孔目という名前は、動物を分けるために使われる分類名のひとつです。
難しく聞こえるかもしれませんが、「ハリモグラは、ほかの多くのほ乳類とは少しちがう、昔から続くグループの仲間」と覚えるとわかりやすいでしょう。
ハリネズミは真無盲腸目に分類される動物
ハリネズミは、真無盲腸目というグループに入るほ乳類です。
このグループには、ハリネズミのほかにモグラやトガリネズミなども含まれています。
ハリネズミは「ハリネズミ科」、モグラは「モグラ科」といったように、同じ大きなグループの中でも別々の家族に分けられます。
たとえば学校のクラスが同じでも、家族が同じとは限らないのと少し似ています。
ハリネズミとモグラは同じ目に入る仲間ですが、ハリモグラとハリネズミが同じ仲間というわけではありません。
分類では、まず大きなグループがあり、その中にさらに細かなグループがあるため、名前が似ているかどうかよりも、どこに分類されるかを見ることが大切です。
動物の分類は、体の骨や内臓のつくり、遺伝情報など、たくさんの手がかりをもとに考えられています。
名前に「モグラ」「ネズミ」とあってもそれぞれの仲間ではない
ハリモグラという名前には「モグラ」、ハリネズミという名前には「ネズミ」が入っています。
けれども、名前にその言葉が入っているからといって、その動物の仲間であるとは限りません。
ハリモグラは、分類上のモグラの仲間ではなく、カモノハシと同じ単孔目の仲間です。
一方のハリネズミも、ネズミの仲間として知られるげっ歯目には入りません。
ハリネズミはモグラと同じ真無盲腸目に入りますが、モグラそのものではなく、ハリネズミ科に分類されます。
動物の名前は、見た印象や昔からの呼び方をもとにつけられていることがあります。
そのため、「モグラ」や「ネズミ」という言葉だけで仲間を決めず、分類を見てみると新しい発見があります。
ハリモグラとハリネズミは、似た名前や印象を持ちながらも、それぞれにちがう親せき関係を持つ動物なのです。
見分けるポイントは鼻先・爪・体の大きさ

ハリモグラとハリネズミを見分けるときは、鼻先の長さ・前足の爪・体の大きさに注目するとわかりやすいです。
ハリモグラは細長い鼻先と目立つ大きな爪を持ち、ハリネズミは短めの鼻先と小さな足をしています。
また、同じような丸い姿に見えても、ハリモグラのほうが大きく、がっしりした印象を受けることが多いです。
| 見る場所 | ハリモグラ | ハリネズミ |
|---|---|---|
| 鼻先 | 細長く、前へすっと伸びる | 短めで、顔がまとまって見える |
| 前足と爪 | 太めの前足に、大きく丈夫な爪がある | 小さな足に、小さめの爪がある |
| 体つき | 大きめで、低くがっしりして見える | 小さめで、ころんと丸く見える |
ハリモグラは細長い鼻先と穴掘りに向いた大きな爪を持つ
ハリモグラの顔でいちばん目につきやすいのは、細く長く伸びた鼻先です。
横から見ると、顔の先が小さな管のように前へ出ているため、ハリネズミとはかなりちがった顔つきに見えます。
鼻先の先には小さな口があり、地面の近くで動くときにも、この長い形がよくわかります。
ただし、写真の角度によっては鼻先が短く見えることもあるため、前足もいっしょに確認すると安心です。
ハリモグラの前足には、土をかくのに向いた太くて大きな爪があります。
とくに前足の爪は目立ちやすく、横向きの写真や歩いている姿では、しっかりした手足が見つけやすいでしょう。
体を低くして進む姿と大きな爪を見かけたら、ハリモグラらしい特徴かもしれません。
後ろ足にも爪はありますが、見分けるときは、まず前足の力強そうな形に注目するのがおすすめです。
ハリネズミは短めの鼻先と小さな足が目印
ハリネズミの鼻先はとがっていますが、ハリモグラほど長くは伸びていません。
顔全体を見ると、鼻先から目、耳までが比較的近く、小さな顔にきゅっと集まったような印象があります。
正面から見ると、つぶらな目と小さな鼻が見えやすく、親しみのある表情に感じる人もいるでしょう。
ハリネズミの足は短く小さめで、体の下にちょこんと付いているように見えます。
爪はありますが、ハリモグラの前足のように、遠くからでも大きく目立つ形ではありません。
歩く姿を見ることができれば、細長い鼻先よりも、丸い体の下から小さな足が動く様子が手がかりになります。
- 鼻先が顔に対して短めに見えるか
- 足が小さく、体の下にかくれるように見えるか
- 前足の爪が極端に大きく見えないか
この3つを確認すると、ハリネズミの特徴をつかみやすくなります。
ハリモグラのほうが全体的に大きく見える
種類によって差はありますが、一般的にはハリモグラのほうがハリネズミより大きく見えます。
ハリモグラは体が低くて幅があり、足や爪もしっかりしているため、地面に置かれたときに重みのある姿になります。
ハリネズミは小型の種類が多く、手のひらにのりそうな、ころんとした大きさを思い浮かべるとイメージしやすいです。
ただし、写真だけで大きさを比べるのはむずかしいことがあります。
近くに草や石、落ち葉などが写っているときは、それらと体を比べると、おおよその大きさを考える手がかりになります。
鼻先が長く、大きな爪があり、体もがっしりして見えるならハリモグラ、鼻先と足が小さく、全体が丸くコンパクトに見えるならハリネズミと考えるとよいでしょう。
ハリモグラは卵を産み、ハリネズミは子どもを産む

ハリモグラとハリネズミは、赤ちゃんが生まれる方法も大きく違います。
ハリモグラは卵を産み、ハリネズミは母親のおなかから赤ちゃんが生まれます。
どちらも体に毛があり、母乳で子どもを育てる哺乳類ですが、ハリモグラの卵はとくにめずらしい特徴です。
| 比べるところ | ハリモグラ | ハリネズミ |
|---|---|---|
| 赤ちゃんの生まれ方 | 小さな卵を産みます。 | 母親のおなかから生まれます。 |
| 生まれたあとの育ち方 | 母親の袋の中で大きくなります。 | 巣の中などで母親に守られて育ちます。 |
| 共通するところ | どちらも母乳を飲んで育つ哺乳類です。 | |
ハリモグラは卵を産むめずらしい哺乳類
ハリモグラは、哺乳類の中でも卵を産む仲間です。
このような仲間は単孔類と呼ばれ、ハリモグラのほかにはカモノハシが知られています。
哺乳類なのに卵を産むと聞くと、不思議に感じるかもしれません。
けれども、卵からかえった赤ちゃんに母乳を与えて育てるので、ハリモグラはまちがいなく哺乳類の仲間です。
ハリモグラが産む卵は、鳥の卵のように大きくてかたい殻のあるものではありません。
小さく、やわらかな殻に包まれた卵を一つ産むことが多いとされています。
母親は産んだ卵を大切に守り、赤ちゃんがかえるまで体の近くで温めます。
卵を産むことと、母乳で育てることの両方をするところが、ハリモグラの大きな特徴です。
ハリネズミの赤ちゃんは母親のおなかから生まれる
ハリネズミは、多くの哺乳類と同じように、赤ちゃんを母親のおなかの中で育ててから産みます。
つまり、ハリネズミは卵を産みません。
生まれたばかりの赤ちゃんはとても小さく、まだ自分だけで十分に動いたり、食べ物を探したりすることはできません。
そのため、母親は安全な場所に作った巣で赤ちゃんを見守ります。
赤ちゃんは母乳を飲みながら、少しずつ体を大きくしていきます。
生まれた直後の針は、成長したハリネズミの針とは見え方が異なり、やわらかく短い状態です。
これは、赤ちゃん自身と母親の体への負担が小さくなるように役立つと考えられています。
育つにつれて針はしっかりしていき、体を守るための特徴が整っていきます。
ハリモグラの赤ちゃんは母親の袋の中で育つ
ハリモグラの母親には、赤ちゃんを育てる時期に使う袋があります。
産まれた卵はこの袋の中に入れられ、母親の体温で守られます。
卵からかえった赤ちゃんは、しばらくの間も袋の中で過ごします。
ハリモグラの赤ちゃんは、母親の体から出る母乳をなめて成長します。
ハリモグラには、ほかの哺乳類でよく見られるような目立つ乳首がありません。
そのかわりに、母乳が出る場所を赤ちゃんがなめ取るしくみです。
赤ちゃんの体が大きくなり、針が伸びてくると、袋の中はせまくなります。
その後は母親が用意した安全な場所で過ごし、母親は様子を見ながら世話を続けます。
卵からかえり、袋の中で育つハリモグラの子育ては、ハリネズミとはまったく違う流れなのです。
暮らす地域はオーストラリア周辺とユーラシア・アフリカに分かれる

ハリモグラとハリネズミは、もともと暮らしている地域が大きく違います。
ハリモグラはオーストラリア周辺に、ハリネズミはヨーロッパ・アジア・アフリカに広く見られる動物です。
同じように針のある小さな動物に見えても、出会える国や自然の景色はそれぞれ異なります。
| 動物 | 主な生息地域 | 見られる自然の例 |
|---|---|---|
| ハリモグラ | オーストラリア、タスマニア、ニューギニア | 森林、草原、山地、乾いた地域 |
| ハリネズミ | ヨーロッパ、アジア、アフリカ | 森林、草地、低木の多い場所、農地の周辺 |
ハリモグラはオーストラリアやニューギニアに生息する
ハリモグラは、主にオーストラリアとその周辺の島々で暮らしています。
オーストラリア本土のほか、南にあるタスマニア島や、北側にあるニューギニア島にも仲間がいます。
オーストラリアでよく知られているハリモグラは、比較的広い地域で見られます。
一方で、ニューギニアにいる仲間には、限られた山地や森林に暮らす種類もいます。
住んでいる場所によって、雨が多い森もあれば、地面が乾きやすい草原もあります。
そのためハリモグラは、木の根元や岩のすき間、落ち葉が積もった場所など、身を隠しやすいところを利用します。
ハリモグラを自然の中で見られる地域は、ほとんどがオーストラリア周辺です。
日本の野山で、もともと暮らしているハリモグラに出会うことはありません。
ハリネズミはヨーロッパ・アジア・アフリカに広く生息する
ハリネズミの仲間は、ヨーロッパ・アジア・アフリカに広く分布しています。
たとえばヨーロッパでは、庭園や草地の近くで見られる種類が知られています。
アジアには、寒くなる地域や乾いた地域に暮らす種類がいます。
アフリカには、暑さのある草原や低木が生える地域で暮らす種類もいます。
このように、ハリネズミとひとことで言っても、住んでいる国や気候はさまざまです。
ただし、どの地域にもいつでも見られるわけではなく、種類ごとに得意な環境があります。
ヨーロッパのハリネズミと、アフリカのハリネズミでは、暮らす場所の気温や雨の量も違います。
日本には、自然の中で昔から広く暮らしているハリネズミはいません。
森林や草原など種類に合った環境で暮らす
ハリモグラもハリネズミも、ただ広い地面ならどこでも暮らせるわけではありません。
安全に休める場所があり、季節の変化に対応しやすい環境を選んで生活しています。
- 森林では、落ち葉や倒れた木の近くに隠れやすい場所があります。
- 草原では、背の低い草や茂みの間を利用できることがあります。
- 低木が多い場所では、雨風を避けられるすき間が見つかることがあります。
- 山地や乾いた地域では、その土地の気温や地面の様子に合った種類が暮らしています。
同じ動物の仲間でも、暑さが苦手な種類と、乾いた環境に慣れている種類では、向いている場所が異なります。
だからこそ、動物園などで観察するときは、展示されている背景の草や土、岩にも注目してみると楽しいでしょう。
その動物が自然ではどんな場所で過ごしているのかを想像すると、ハリモグラとハリネズミの違いがもっとわかりやすくなります。
ハリモグラはアリを長い舌で食べ、ハリネズミはさまざまな小動物を食べる

ハリモグラとハリネズミは、どちらも地面の近くで食べ物を探しますが、好んで食べるものは違います。
ハリモグラはおもにアリやシロアリを食べ、ハリネズミは昆虫やミミズなど、見つけた小さな生き物を食べます。
食べ物の違いを見ると、それぞれの鼻先や舌、爪の使い方もわかりやすくなります。
| 動物 | おもな食べ物 | 食べ物の探し方 |
|---|---|---|
| ハリモグラ | アリ、シロアリなど | 土や巣を掘り、長い舌を使う |
| ハリネズミ | 昆虫、ミミズ、クモなど | 地面を歩きながら、においや音をたよりに探す |
ハリモグラはアリやシロアリを探して巣を掘る
ハリモグラは、地面の中や木の下などにいるアリ、シロアリを見つけて食べます。
食べ物を探すときには、力のある前足の爪で土をかき分けたり、巣の一部を崩したりします。
ハリモグラの前足は、やわらかい土を掘るだけでなく、食べ物が隠れている場所を開けるのにも役立ちます。
アリやシロアリが見つかると、細長い鼻先を近づけて、長い舌をのばします。
その舌にはねばりがあり、小さな虫がくっつきやすくなっています。
歯でしっかりかみ切るというより、舌で集めた虫を口の奥へ運んで食べるのが特徴です。
ハリモグラが食べ物を探したあとには、土が少し掘り返されたような場所が残ることもあります。
ただし、どこでも大きく掘るわけではなく、地面のかたさや虫の巣がある場所に合わせて行動します。
アリやシロアリを見つけることが、ハリモグラの食事の大切なポイントです。
ハリネズミは昆虫やミミズなどを探して歩く
ハリネズミは、甲虫などの昆虫、ミミズ、クモといった小さな生き物を食べることがあります。
種類や季節、暮らしている場所によっては、ほかの食べ物を口にする場合もあります。
ハリネズミは地面の上を歩きながら、鼻を動かして食べ物を探します。
落ち葉の下や草むら、石の近くには、昆虫やミミズが隠れていることがあります。
そこでハリネズミは、においをたよりにしたり、かすかな動く音に気づいたりして、食べ物を見つけます。
ハリモグラのようにアリの巣を掘って舌で集めるのではなく、見つけた生き物を一つずつ食べることが多い点が違いです。
口には小さな歯があり、昆虫のかたい部分などもかんで食べます。
食べ物を探す姿は、草の間をくんくんと進むように見えるかもしれません。
小さな体でも、周りのにおいや音をよく感じ取りながら、食事の時間を過ごしています。
どちらも夜や夕方に活動することが多い
ハリモグラもハリネズミも、夕方から夜にかけて食べ物を探すことが多い動物です。
日中の明るく暑い時間を避けて、気温が下がってから動く種類が見られます。
夜の地面では、昆虫やミミズなどが見つかりやすくなることもあります。
ハリモグラにとっては、アリやシロアリのいる場所を落ち着いて探しやすい時間になる場合があります。
ハリネズミにとっては、草むらや落ち葉の下を歩き、虫を探しやすい時間です。
ただし、活動する時間は種類や気温、天気によって変わるため、いつも同じ時刻に現れるとは限りません。
動物園で観察するときには、昼間は休んでいるように見えることもあります。
そんなときは、暗くした展示や夕方以降に動き出す様子を見られる場合があります。
同じように針を持っていても、食べ物の探し方にはそれぞれの得意な方法があるのです。
どちらの針も硬く変化した毛で体を守るために役立つ

ハリモグラとハリネズミの針は、どちらも毛が硬く変化したもので、ほかの動物から身を守るのに役立ちます。
見た目はとがっていても、針に毒はなく、自分から矢のように飛ばすこともありません。
ただし、守り方には違いがあり、ハリネズミは体を丸め、ハリモグラは丸まったり地面に潜ったりします。
| 動物 | 針の役目 | 主な身の守り方 |
|---|---|---|
| ハリネズミ | 背中や横を守る | 体を丸めて針を外側へ向ける |
| ハリモグラ | 背中や体の上側を守る | 丸まる・土に潜る・すき間に入り込む |
針は何かを攻撃するための道具というより、「近づきにくい体」にするための防具のようなものです。
針の間にはふつうの毛も混じっていて、体をおおう役目をしています。
針に毒はなく自分から飛ばすこともない
ハリモグラとハリネズミの針には、毒はありません。
また、針を体から抜いて相手へ飛ばすこともありません。
びっくりしたときや危険を感じたときには、針を立てたり体の向きを変えたりして、近づきにくくします。
針の先は細くて硬いため、うっかり触るとちくりと感じることがあります。
そのため、野生で見かけても手を出さず、少し離れた場所から静かに見ることが大切です。
動物園などで観察するときも、飼育している人の案内を守ると、動物も人も安心して過ごせます。
ハリネズミは体を丸めて針を外側に向ける
ハリネズミは、心配なことがあると体をぎゅっと丸めることがあります。
背中や横側にある針が外向きになり、やわらかなおなかや顔を隠しやすくなるのです。
丸まった姿は小さな針の玉のように見えます。
これは、体を動かす筋肉を使って、頭と足を内側へ引き寄せることでできます。
相手が離れたと感じると、少しずつ顔を出し、周りの様子を確かめます。
いつも丸まっているわけではなく、安心できる場所では、足を使って地面を歩きながら過ごします。
- 顔やおなかなど、針が少ない部分を隠しやすいです。
- 針を外側に向けて、近づかれにくくします。
- 落ち着くまで動きを少なくして、様子をうかがいます。
ハリモグラは丸まったり地面に潜ったりして身を守る
ハリモグラも体を丸めて、針のある背中を外側に向けることがあります。
けれどもハリモグラには、前足の大きくて丈夫な爪を使えるという得意な方法もあります。
土がある場所では、すばやく掘って体を低くし、地面に潜るように身を隠すことがあります。
針のある背中を地上に残すような姿になると、上から近づく動物にとっては触れにくくなります。
岩のすき間や倒れた木の下などに入り、体を守る場合もあります。
ハリモグラは、丸まるだけに頼らず、その場所の土や地形を利用して身を守るのです。
同じように針を持つ2種類でも、体の使い方に合った守り方を選んでいるところが面白いですね。
別の仲間なのに似ているのは同じ身の守り方へ進化したため

ハリモグラとハリネズミが似て見えるのは、近い仲間だからではなく、どちらも体を守るために針のような毛を発達させたからです。
別々の道をたどってきた動物でも、同じような困りごとに向き合うと、見た目や体のしくみが似ることがあります。
このような自然界の不思議を知ると、動物を見る楽しさがもっと広がります。
似た環境で似た特徴を持つことを収斂進化という
血のつながりが遠い生き物が、似た暮らし方や環境に合わせて、似た特徴を持つようになることを収斂進化(しゅうれんしんか)といいます。
「収斂」は、ばらばらだったものが一つの場所へ近づく、という意味の言葉です。
ハリモグラとハリネズミは、昔から同じ種類の動物だったわけではありません。
それでも、小さな体で地面の近くを動くなかで、身を守りやすい形がそれぞれに受けつがれ、針のある姿へと近づいていったと考えられています。
つまり、見た目が似ていることだけでは、近い仲間かどうかは決められないのです。
- 近い仲間の場合は、共通する昔の祖先から似た特徴を受けついでいることがあります。
- 収斂進化の場合は、近い仲間ではなくても、似た役目を持つ特徴がそれぞれに生まれます。
たとえば、鳥とコウモリにはどちらも空を飛ぶための翼があります。
けれども、翼の骨のつくりや体の仲間分けを見ると、同じ動物のグループではありません。
ハリモグラとハリネズミの針も、これと同じように、似た役目をするために似て見える特徴の一つです。
自然の中では、「生きのびやすい方法」が同じだと、遠い仲間どうしでも似た答えにたどり着くことがあるのですね。
針のある姿は敵から身を守るのに役立つ
動物にとって、体を守ることはとても大切です。
やわらかい毛だけにおおわれた体よりも、硬い針がある体のほうが、ほかの動物に簡単には触れられにくくなります。
そのため、針は「近づきにくい」と相手に伝える目印のような役目もしています。
針があることで、逃げる時間をつくったり、安全な場所へ移動したりしやすくなる場合があります。
もちろん、針があればどんなときでも安心できるわけではありません。
けれども、小さな体の動物にとっては、体を守るための大切な工夫の一つです。
| 似ているところ | 役立つこと |
|---|---|
| 硬い針のような毛がある | 体に触れられにくくする |
| 背中側が守られやすい | 弱い部分を守る助けになる |
| 小さな体で地面近くを動く | 身を守る工夫が特に大切になる |
ただし、ハリモグラの針とハリネズミの針は、同じ祖先からそのまま受けついだ一組の道具ではありません。
別々の仲間が、それぞれの長い時間のなかで、似た「守りやすい姿」に近づいたことが大切なポイントです。
見た目だけでは気づきにくい違いの中に、動物たちが歩んできた長い歴史がかくれているのです。
日本での飼育はハリネズミとハリモグラで事情が大きく異なる

日本で家庭に迎えられることがあるのは主にハリネズミで、ハリモグラを個人で飼育するのはとても難しいと考えられます。
どちらも針のある小さな動物に見えますが、手に入れ方や必要な環境、守るべき決まりには大きな違いがあります。
動物を迎えるときは、見た目のかわいらしさだけで決めず、その動物が安心して暮らせる場所や、お世話を続けられるかを家族で考えることが大切です。
ハリネズミは種類や飼育環境を確かめて迎える必要がある
ペットとして見かけるハリネズミにはいくつかの種類があり、日本での販売状況や飼育に関する扱いは種類によって異なることがあります。
お店で見かけたからといって、どのハリネズミでも同じようにお世話できるわけではありません。
迎える前には、どの種類なのか、健康な状態か、どのような環境で育ってきたかを、お店の人にしっかりたずねましょう。
ハリネズミは夜に活動しやすい動物なので、昼間にたくさん遊びたい子どもとは生活の時間が合わない場合もあります。
また、落ち着ける寝床、動き回れる広さ、毎日のお世話をしてくれる人が必要です。
| 迎える前に見ること | たしかめたい内容 |
|---|---|
| 種類 | 名前や特徴、飼育に関する扱いを確認する |
| 生活の時間 | 夜に動きやすいことを家族で理解する |
| お世話 | 食事、水替え、掃除を毎日続けられるか考える |
| 相談先 | 動物を診てもらえる病院が近くにあるか調べる |
小さな動物でも、お世話は何年も続きます。
「最後まで一緒に暮らせるか」を先に考えることが、ハリネズミにとっても家族にとっても大切です。
子どもだけでお世話をがんばるのではなく、大人といっしょに役割を決めると安心です。
ハリモグラを個人で飼育するのは難しい
ハリモグラは、オーストラリア周辺の自然の中で暮らす動物で、日本の家庭で見かけることはほとんどありません。
生まれ育った地域では野生動物として大切に守られており、国外へ移すことや飼育することには、さまざまな手続きや条件が関わります。
そのため、ペットショップで気軽に選んで家庭へ迎える動物ではありません。
ハリモグラには、食事の用意や温度の管理、体調を見守るための専門的な知識も必要になります。
広い施設や専門のスタッフがいる動物園などで飼育される場合があるのは、その動物に合った環境を整えることが大切だからです。
もしハリモグラを見てみたくなったら、飼うことを考えるよりも、動物園や自然についての本で暮らしを知る方法がおすすめです。
動物を迎える前に販売状況や最新の決まりを確認する
動物に関する決まりや販売の状況は、種類や時期によって変わることがあります。
インターネットで見つけた古い情報だけを頼りにせず、迎える前に新しい情報を確認しましょう。
- 信頼できる販売店で、種類や生まれ育ちを聞く
- 自治体や関係する機関の案内で、飼育に関する決まりを確認する
- 近くに相談できる動物病院があるか調べる
- 家族全員が、お世話の分担と費用について話し合う
- 飼い続けることが難しくなったときの相談先も考えておく
特に、野生動物や海外から来る動物には、自然や動物を守るための決まりが関わることがあります。
分からないことがあれば、その場で決めずに大人といっしょに確認するのがよいでしょう。
ハリネズミとハリモグラは似て見えても、家庭に迎えられるかどうかは同じではありません。
動物の暮らしを大切に考えて、自分たちの家で責任をもってお世話できる動物かをゆっくり判断しましょう。
ヤマアラシは2種より大きく、げっ歯目に分類される

ヤマアラシは、ハリネズミやハリモグラよりもずっと大きな体と、長く目立つ針を持つ動物です。
名前に「ハリ」がつく3種類ですが、ヤマアラシはげっ歯目、ハリネズミとハリモグラはそれぞれ別のグループに分けられます。
遠くから見て「大きなハリネズミかな?」と思っても、体の大きさや鼻先、針の見え方を確かめると、ヤマアラシらしさを見つけやすくなります。
ヤマアラシは長く目立つ針を持つ
ヤマアラシのいちばん分かりやすい特徴は、背中からおしりにかけて生えている、長くて太く見える針です。
種類によって針の長さや色合いは異なりますが、白と黒の模様がある針を持つヤマアラシもいて、遠くからでもよく目立ちます。
ハリネズミの針は体をおおうように短く密に生えていますが、ヤマアラシの針は1本1本がはっきり見えやすいのが特徴です。
また、ヤマアラシは体そのものが大きいため、針もふさふさした毛のようには見えにくく、力強い印象を受けることがあります。
野外や動物園で見かけても、針に触ろうとしたり、近づきすぎたりしないことが大切です。
動物が落ち着いて過ごせるように、少し離れた場所から静かに観察しましょう。
ハリネズミ・ハリモグラ・ヤマアラシはそれぞれ別の仲間
3種類は針のある見た目が似ていますが、動物の分類では同じ仲間ではありません。
ヤマアラシは、リスやビーバーなどもふくまれるげっ歯目の動物です。
げっ歯目の動物には、前歯が伸び続けるという共通した特徴があります。
| 動物 | 大きな分類 | 覚えやすい特徴 |
|---|---|---|
| ハリネズミ | 真無盲腸目 | 小さな体に短い針が密に生えている |
| ハリモグラ | 単孔類 | 哺乳類の中でも少し特別なグループ |
| ヤマアラシ | げっ歯目 | 大きな体と長く目立つ針を持つ |
このように、ヤマアラシは「針のある動物」という見た目だけではなく、体のつくりの面でもハリネズミやハリモグラと違いがあります。
名前や見た目が似ていても、動物の仲間は同じとは限らないのですね。
体格と鼻先と針の長さを比べると見分けやすい
3種類を見分けたいときは、針だけを見ないで、体全体の形をくらべるのがおすすめです。
とくに「体格」「鼻先」「針の長さ」の3つに注目すると、ヤマアラシを見つけやすくなります。
- 体格:ヤマアラシは3種類の中では大きく、どっしりして見えます
- 鼻先:ヤマアラシの鼻先は、ハリモグラのように細長くは伸びていません
- 針の長さ:ヤマアラシは長い針が外側へ目立ちやすい姿です
ハリネズミは手のひらにのるほどの小さな種類もいますが、ヤマアラシは人とくらべても大きく感じることがあります。
一方で、ハリモグラは細く長い鼻先と地面を掘るのに向いた足元に注目すると、ヤマアラシとの違いに気づきやすいでしょう。
「針があるから同じ動物」と考えるのではなく、体の大きさと顔つき、針の形をまとめて見ると、動物を観察する楽しさがもっと広がります。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- ハリモグラとハリネズミは、針があっても別の仲間のほ乳類です。
- ハリモグラはカモノハシに近く、ハリネズミはモグラやトガリネズミに近い仲間です。
- 細長い鼻先と大きな爪があるほうがハリモグラ、短めの鼻先で小さな足をしているほうがハリネズミです。
- ハリモグラは卵を産み、ハリネズミは母親のおなかから赤ちゃんが生まれます。
- ハリモグラはオーストラリア周辺、ハリネズミはヨーロッパ・アジア・アフリカに暮らしています。
- ハリモグラはアリやシロアリを好み、ハリネズミは昆虫やミミズなどを食べます。
- どちらの針も硬く変化した毛で、身を守るために役立ちます。
- 似て見えるのは近い親せきだからではなく、似た身の守り方を身につけたためです。
- ヤマアラシも針がありますが、ハリモグラやハリネズミとは別の仲間です。
ハリモグラとハリネズミは、丸い体や針のある姿がよく似ていますが、比べてみるとたくさんの違いがあります。
鼻先や足、食べ物、赤ちゃんの生まれ方に注目すると、写真や動画を見る楽しみがもっと増えます。
動物園で見かけたときや図鑑を開いたときは、「どんな場所で、何を食べて暮らしているのかな」と考えてみてください。
小さな体に、それぞれが自然の中で生きるための工夫がつまっていることに気づけるはずです。

